国民体育大会冬季大会スキー競技会

ノルディック競技 報告

山梨県スキー連盟競技本部ノルディック委員会

2003年 なよろサンピラー国体

第58回国民体育大会冬季大会スキー競技会

平成15年2月22日〜25日・北海道名寄市 日進クロスカントリーコース

山梨県選手団クロスカントリーチーム全員

 2月20日、午前2時30分甲府市緑ヶ丘体育館駐車場に山梨県選手団は集合し、バスで羽田空港に向かう。午前6時50分発の飛行機で北海道へ移動し、午後12時30分には山梨県選手団の宿舎となる士別市のつくも青少年の家に到着する。宿舎からクロスカントリー競技会場となる名寄市健康の森にある日進クロスカントリーコースまでは車で片道40分かかる。どこまでも続く直線の道路が、狭い盆地に暮らす山梨県人にとっては異様に感じられる。
 この日の 午後は自由練習とし、コースの下見と雪質を確認する。監督・コーチはこの日のうちに10kmコースを1周し、レース時のサポート体制を考える。今回のコースは8〜9km地点の急な下りが重要ポイントとなるだろう。


 2月21日、今朝は低温注意報が出て氷点下27度。明け方から車のエンジンをかけっぱなしにする。宿舎からシャトルバスで会場へ向かう。午前中に5qのタイムレースを行い、体調の最終確認を行う。成年男子Cの工藤選手がクラシカルでフリーの選手とほぼ同じタイムで滑る。調子はピークらしい。
 コーチ陣はこの日はワックスのゼロテストを行い、午後は名寄市内のホテルメープルで開催される監督会議に出席する。


 2月22日、午前中、軽い練習とワックステストを行い、そのまま開会式場となる名寄南小学校へシャトルバスで移動する。快晴無風の状態で、それほど寒さは感じられない。地元の方々の心のこもった素朴なおもてなしに感激。

 2月23日、午前9時30分の気温−17℃、雪温−17℃、湿度50%、晴れ。午前は少年男子10kmクラシカル。山梨県からは河野淳一選手(山梨学院大附属高校3年)ただひとりが出場する。2回転倒するというミスはあったが、グリップワックスがぴたりと合ったため登りが快調で、昨年の少年男子の最高順位である神宮司選手の118位を上回り、100位に入った。 「はじめて監督にほめられた! レースがとっても楽しかった。」 と河野選手。
 午後は、少年・成年女子5kmクラシカル。山梨県からはただひとりの女子選手、佐藤由美選手(山梨学院大附属高校1年)が出場する。昨年出場した佐藤史香選手の妹である。強豪選手の多い第1グループからのスタートであったがよく健闘し、71位となる。ゴール後泣いている彼女の頭には、スタートするときかぶっていた帽子は無く、あごには擦過傷をつくって来た。ゴール目指して無心で滑ってきたのだろう。

 2月24日、午前9時30分の気温−14℃、雪温−17℃、湿度35%、晴れ。成年男子A・B10km、成年男子C5kmクラシカル。グリップワックスの選定が微妙だ。成年男子Aに、小川壮太選手(山梨南中学教)、真明剛士選手(日本大学)、神宮司裕也選手(山梨学院大学)、栗原良彰選手(日本大学)の4名が出場。小川選手は昨年の秋季国体では陸上競技で出場し、5000mで決勝に進出し11位の実績がある。しかし、スキーではブランクが長く、入賞には及ばず61位であった。来年はスキーに専念し、30位を狙いたいと言っていた。彼も職場へ帰れば中学校の英語教師、いずれは中学生の指導者として選手育成に尽力してもらいたい。
 真明選手は昨年の100位から順位を上げ、76位となった。 本人も完璧であったと語っていた。彼はフリーの方が得意なので、明日のリレーでは爆発してもらいたい。
 神宮司選手は96位、栗原選手は100位となり、まずまずの成績をおさめることができた。成年男子Aの選手は4人ともグリップワックスが完璧に合っていたので、下りで抜かれても登りで抜き返す場面が多かった。

 成年男子Bには、今年で国体11回目のベテラン富岡俊士選手(冨士食品工業梶jが出場し36位であった。今ひとつワックスが合っていないようだ。今年成年Bになったばかりであるが、これからも成年Bの中核選手として活躍してもらいたい。

 成年男子Cには、入賞の期待のかかる工藤直樹選手(富士吉田スキー連盟)の出場である。工藤選手は4年前の小樽国体では成年Cで17位、5年前の岩手国体では成年Bで16位であったので、本人も狙っていた。スタートして500mでグリップワックスが合っていないことに気付く。成年Aの選手より1ランク軽いワックスを塗って、攻めに走った。結果は17位、本人にとっては不本意な成績のようだが、山梨県にとっては偉大な17位であった。
 工藤選手は1年前に右足を骨折し、1年間リハビリに励んで今大会にのぞんできた。怪我と、そして39歳という年齢を乗り越えて出した今回の17位という成績は、彼の競技に対する執念の賜物と言える。 「来年はさらに上を目指して頑張りたい。」と工藤選手。


 2月25日、大会最終日、いよいよリレーである。山梨県は成年男子リレーのみの出場である。結果は24チーム中22位であった。
 2年前の飯山国体のとき、7年振りに少年男子リレーチームを編成して出場したが、最下位に終わり、翌年の妙高国体でも最下位となり、最下位が山梨の指定席になりかけたが、今回、5年振りに成年男子リレーに出場し、遂に最下位を脱出することができた。少年男子のときからリレーメンバーとして育ててきた選手が、みごと大役をこなし、念願を果たしてくれた。
 1走の小川選手がスタート直後、股の間にストックをついてしまい転倒、集団から取り残されるというアクシデントがあったが、最後尾にいたため他の選手に踏みつけられることもなく、その後落ち着いて3チームを抜いて2走の工藤選手につなぐ。
  工藤選手は得意のフリー走法で、若手選手の中に混じって22位で3走の真明選手へつなぎ、真明選手は選手生活の中で最高の滑りで21位の岐阜県に0.3秒まで迫り、4走の神宮司選手は最後まで岐阜県の選手と抜いたり抜かれたりのデッドヒートを演じた。 ゴール後、荒れる息で「すみません、・・・すみません。」と謝る神宮司選手。岐阜県チームに6.8秒差で敗れはしたものの、繰上げ出走を免れ(山梨県から後の3チームが繰り上げであった。)、20位の茨城県の背中を見ながら、最後まで競い合ってゴールした選手の気迫を讃えたい。来年は20位以内、という目標が現実的になってきた。

 今回の国体の収穫は、成年男子Cで得点が射程距離内となったこと、そして、リレーで念願の最下位脱出が果たせたことである。また、個人の成績についても、昨年よりも確実にトップとの差が短縮した。長いトンネルの向こうにやっと明かりが見えてきたようだ。これから来年に向け、中学生・高校生の選手育成に努め、長期的な視野にたって、山梨県の競技力の向上を図りたい。果てなく続くストーリーはさらに続く。

河野選手、会心のゴール
河野選手と五味先生
佐藤選手スタート
河野選手ゴール(少年男子・10km)
ゴール後の河野選手、スキー部顧問の五味先生と
佐藤選手スタート(少年女子・5km)
栗原選手
神宮司選手
真明選手
栗原選手(成年男子A・10km)
神宮司選手(成年男子A・10km)
真明選手(成年男子A・10km)
小川選手
富岡選手
工藤選手
小川選手(成年男子A・10km)
富岡選手(成年男子B・10km)
工藤選手(成年男子C・5q)
成年男子リレー1走小川選手
成年男子リレー2走工藤から3走真明へ
成年男子リレー 3走の競り合い
成年男子リレー 1走の小川選手
成年男子リレー 2走工藤選手から3走真明選手へ
成年男子リレー 3走真明選手、岐阜県に追いつく
成年男子リレー3走真明から4走神宮司へ
成年男子リレー アンカー勝負
中安監督
成年男子リレー 3走真明選手から4走神宮司選手へ
成年男子リレー4走  岐阜・兵庫・山梨の競り合い
ストップウォッチ、無線機等、完全武装の監督

第58回国民体育大会冬季大会スキー競技会 クロスカントリースキー競技

山梨県代表

監督中安正議
コーチ佐々木浩文
コーチ市村和史
成年男子A小川壮太
成年男子A真明剛士
監督
中安 正議
山梨県庁

コーチ
佐々木 浩文
富士山小御岳神社

コーチ
 市村 和史
北海道東海大学
成年男子A
小川 壮太
山梨南中教
成年男子A
真明 剛士
日本大学
成年男子A神宮司裕也
成年男子A栗原良彰
成年男子B富岡俊士
成年男子C工藤直樹
少年男子河野淳一
成年女子佐藤由美
成年男子A
神宮司裕也
山梨学院大学
成年男子A
栗原 良彰
日本大学
成年男子B
富岡 俊士
冨士食品工業
成年男子C
工藤 直樹
富士吉田スキー連盟
少年男子
河野 淳一
山梨学院大附属高校
少年女子
佐藤 由美
山梨学院大附属高校

なよろサンピラー国体山梨県勢の記録(ノルディック)

クロスカントリー 監督
中安 正議
山梨県庁
クロスカントリーコーチ
佐々木浩文
富士山小御岳神社
クロスカントリーコーチ
市村 和史
北海道東海大学

ノルディック(クロスカントリー)

月 日
種 目
選手氏名
所 属
記 録
順 位

2003/2/23

少年男子
10kmクラシカル

河野 淳一
山梨学院大附属高校

36分14秒4

100/143
少年女子
5kmクラシカル
佐藤 由美
山梨学院大附属高校
24分44秒3
71/78
2003/2/24
成年男子A
10kmクラシカル

 

小川 壮太
山梨南中学校教員
33分15秒6
61/110
真明 剛士
日本大学
34分28秒9
76/110
神宮司裕也
山梨学院大学
37分07秒2
96/110
栗原 良彰
日本大学
37分40秒3
100/110
成年男子B
10kmクラシカル
富岡 俊士
冨士食品工業
37分12秒3
36/40
成年男子C
5kmクラシカル
工藤 直樹
自 営
16分58秒0
17/48
2003/2/25

成年男子リレー

10km×4 フリー

 1走  小川 壮太
31分33秒2
21/24
 2走  工藤 直樹
31分31秒2
20/24
 3走  真明 剛士
30分53秒6
17/24
 4走  神宮司 裕也
34分11秒9
22/24
合       計
2時間08分09秒9
22/24

公式記録・総合成績
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