平成22年12月18日〜26

2次強化合宿・野沢温泉村

野沢温泉スキー場上ノ平コースにて
野沢温泉スキー場上ノ平コースにて

今年は雪不足、でも上ノ平では問題なし。

 平成22年12月18日から26日までの8泊9日の期間で、長野県野沢温泉村で山梨県スキー連盟ノルディック部第2次強化合宿を実施しました。年末は雪不足に悩まされる大糸沿線から、合宿場所を野沢温泉村に移動してもう10年以上になります。やはり雪不足で困ったときは野沢温泉スキー場、ゴンドラに乗って上ノ平へ登ると、そこには完璧に整備されたクロスカントリーコースがあるので安心です。
 今年も雪不足が心配されましたが、全期間上ノ平コースで問題なくトレーニングができました。ゴンドラ料金がちょっと嵩みますが、クロカンパックというゴンドラ代、昼食代、コース使用料がセットになった格安パックがあるので、選手への負担は少ないです。クロカン選手に配慮したスキー場経営がありがたいです。
 今回の参加者は例年になく大所帯となり、成年男子選手2名、高校生選手21名(韮崎工業高校、東海大甲府高校、北杜高校、甲府城西高校、山梨学院大附属高校)うち女子5名、連盟コーチ3名、顧問の先生6名、総勢32名となりました。久々に民宿鈴森の食堂には入りきれない人数となりました。

朝のコンディショントレーニング
初心者は基礎練習から
町コーチのダイアゴナル走法
みんなで分担を決めて夕食の準備 ごはんはてんこ盛り 町コーチのワックス講習会、真剣な眼差し

 1日目は午後から日影ゴンドラに乗って上ノ平へ。日影ゲレンデには全く雪がなくちょっと不安になりましたが、ゴンドラを下りると一面の銀世界、クロスカントリー専用コースも整備されており問題なく練習ができました。初心者はスケーティング走法の基礎練習、まず歩くことから始めました。練習が終わる頃から雪が降りは始めましたが、ゴンドラを降りると残念ながら雨に変わっていました。夕食後は町コーチによるワックシング講習会、選手たちの真剣な眼差しから、今回の合宿で何かをつかもうとする意気込みが感じられました。

学校は違うけど仲良くしようね。
昼食後はレストルームでお昼寝タイム。
初心者もコースに出てみよう。
山梨学院高校・五味先生とその教え子たち。
さあ、足並み揃えて。
巣鷹湖で毛無山をバックに。あっ、誰かこけた。

 2日目はクラシカル走法の練習です。天候は雲ひとつない快晴、こんな天気、1シーズンに何回あるかわかりません。上ノ平は標高1400m、妙高山、火打山、黒姫山の展望を満喫できました。上級者はコースに入ってペース走、初心者も午後にはコースに入りました。はじめてコースに入る初心者には、「バンフライをかけられたらコースをあけること。」「休むときはコースからはずれて他の選手のじゃまにならないようにすること。」「転んでレーンを壊したら直すこと。」を徹底しました。
 3日目はフリー走法、午前は上級者はペース走、初心者は基礎練習ばかりでちょっと飽きてきたので、雪に埋まった巣鷹湖1周プチツアーで自然との一体感を深めました。午後は上級者はいよいよスピード練習、登りインターバルです。「何本やるんですか?」の選手の質問に中安コーチの「たったの12本!」の答え。「そのたったていうのやめてもらえませんか。」とある選手の声。選手にとっては想像以上にきつい練習でした。初心者は同じコースで下りの練習です。そろそろスキーに慣れてきました。
 4日目はフリー走法で上級者は3時間耐久走、初心者も90分走を完走しました。午後は宿に帰って休養しました。
 5日目はクラシカル走法で上級者も初心者も1qコースでレペテイショントレーニングを行いました。初心者ははじめてタイムを計測し、大いに興奮していました。モチベーションが高いのはいいことです。

スケーティングのコツがつかめてきたぞ。
やばい、先輩が追いかけてくる。 クイックスケーティングを完成させよう。
スピード練習は気合いを入れて。
雪って気持ちいいね。
クラシカルは大きなフォームで。

 6日目は荒天と落雷のためゴンドラが運休したため、午前中は休養としました。トリノオリンピック女子リレーのビデオを上映し、日本が瞬間的に世界の頂点に立った映像を見てモチベーションを高めました。午後はゴンドラの運行が再開されたので、フリーの基礎練習を行いました。霧が深く遭難しそうでした。
 7日目はいよいよ今回の合宿のクライマックス、5qタイムレースです。1日目の今日はクラシカル走法での30秒おきのインターバルスタート、2日目の明日はクラシカルのタイム差でスタートするフリー走法でのパシュートです。練習でのタイムレースは試合を想定して行うことに意義があります。タイムよりもいかにレースに集中できるかがポイントです。初心者も上級者と同じ距離を走りましたが、全員問題なく完走し、県総体出場への自信をつけました。午後は今日新設された5qコースを1周してから、グラウンドで平地滑走の基礎練習をこなしました。今日はクリスマスイブ、ミーティングの後、ささやかなクリスマスパーティーを開催しました。1切れ残ったクリスマスケーキ争奪のジャンケン大会での選手たちの盛り上がりには驚きました。この元気、合宿を乗り切るためにはとっても大事なのです。
 8日目はフリー走法パシュートでの10qタイムレース、スケーティング走法が得意な選手にとっては逆転のチャンスです。予想したとおり順位はめまぐるしく入れ替わりました。好タイムが出て上機嫌の選手、不本意な結果に落ち込む選手、完走した喜びを全身で表現する選手、好調のライバルに危機感を感じて不安な選手など、タイムレースの結果は選手にとって様々ですが、どの選手にもクロスカントリースキーに真面目に取り組んでいる姿が快く感じました。この日は日影ゲレンデまで雪が付いたので、ゴンドラには乗らずに林道を滑って下りました。これが意外と疲れました。
 9日目最終日は選手の選択した走法で、自由練習としました。悔いの残らないよう納得のいくまで選手たちは自主的に練習しました。
  今回の合宿は多人数の参加にもかかわらず病人も怪我人も出ることがなく、ほんとうにコーチ冥利に尽きる楽しい合宿でした。これも、各学校の熱心な顧問の先生のおかげであると心より感謝しております。 今回、授業や生徒指導、学校行事の激務の合間に参加していただいた、教育に熱い心を持った顧問の先生方の人間性の奥深さには敬服いたします。

クリスマスケーキ入刀
レペでミドルパワーを強化。

クリスマスケーキ、入刀。

2週目はぼくがラップ?
タイムレース後、この充実感がいいんだよね。。

全力でゴール、雪の中で動けない。

おい、寝ちゃだめだ!
ゴール後の笑顔、力を出し切りました。

まだ走るんですか。

林道を滑って下る

競技人口を増やしたい。

 今回で何回目の合宿になるでしょう。私は選手を引退してからもずっとコーチとして残り、また山梨県スキー連盟の役員となってスキー界にどっぷりと浸かってきました。選手をやめて指導者の道に入った頃、知りました。選手にとって闘いの場は試合会場だけでしたが、指導者になると闘いの場が2つできることです。選手を送り出す試合会場はもちろんのこと、その他に職場での闘いがはじまるのです。クロスカントリースキーという競技は、合宿や試合が県外で行われますので、職場では休暇を取って参加しなければなりません。国体になると1週間は休まなければなりません。職場では上司や同僚からの理解が必須です。
 アマチュアスポーツの指導者として生きていくためには、快く職場から国体や合宿へ参加させてもらえるような職場でのポールポジションを築かなければなりません。これが並大抵のことではないのです。実は私もいまだにこれがうまくできません。
  職場ではスポーツ指導者であることが仕事で評価されることはまずありません。かえってマイナス評価になることの方が多いです。精神的ストレスがどんどん貯まっていきます。また、報酬のない非営利活動なので経済的にもメリットはなく、また家庭も犠牲にしてしまいます。
 では、なぜ、一般人の生活から見れば何のメリットもない、このようなコーチ活動をしているのかと自問自答してみたところ、それは一貫して「競技人口を増やしたい。」という答えに尽きると思います。
 クロスカントリースキー選手を増やしたい一心で、毎年、クロスカントリースキー競技経験のある指導者のいない県内高校に呼びかけて、連盟主催の合同合宿を開催し、 少しでも多くの選手が競技会に出場できるよう汗を流しています。また、学校や保護者の方々への理解も大切ですので、ホームページなどで各コーチの考え方も公表し、学校や保護者の方々が安心して子供たちを送り出せる体勢を整えようと努力しています。その結果が今、少しずつ表れてきたような気がします。
 選手人口を増やして、クロスカントリースキーをメジャースポーツにしたい。こんな夢を持って選手強化と選手層の底辺拡大に取り組んでいく所存ですので、これからも当スキー連盟に対し、応援よろしくお願いします。

(中安 強化コーチ)


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